2007/01/15〜01/31 大倉本家 (奈良県) VIVA山廃仕込み 体験記 |
去年の「濁酒の仕込み」に引き続き、今回は約半月の泊り込みでお世話になりました。 この大倉本家は濁酒の「水もと造り」に加えて、「山廃造り」の蔵元でもあります。 山廃造りとは、生もと造りに並んで手間隙のかかる造りでして、正式には「山卸廃止もと仕込み」といいます。 生もと造りは酒母を造る段階で、米をすり潰す「もとすり」(山卸)という作業をするのですが、山廃はこの山卸という作業をせず、米を溶かすという考えのもとに造られる方式です。 通常、「速醸もと」と呼ばれる造りでは、酸性に弱い雑菌に対抗するために、人工的に乳酸を入れて対抗するのですが、山廃・生もと造りでは、自然の力での乳酸菌の生育を導きます。 そうすることで、非常に強い酒母が出来るのですが、その分時間と手間がかかるのです。 今回はそんな山廃仕込みを体験してきました。 |
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仕込みの流れ | ||
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米を蒸します 今日もイイ蒸しダ! |
一定温度に放冷後、 麹米は麹室に引き込み、掛米は仕込みタンクへ・・・ |
麹米にもやし(麹菌)を振ります。 左は尾崎杜氏 右は若き大倉社長 その後、米の温度が落ちないように、布や毛布で包んでおきます。 |
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そのまた数時間後に、麹箱の麹米に手を入れ、ほぐしながら温度調節します。 これを仲仕事と言います。 この時点で大分パラパラとしてきます。 |
また数時間後に米の塊を砕き、 麹箱に盛っていきます。 この作業を盛りといいます。 ちなみに私が使っている、米の塊を切る為に使う道具は、ブンジと言います。 |
数時間後、一度米に手を入れて塊を砕きながら温度調整をします。 この作業を切り返しと言います。 |
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その後、また数時間後に手を入れます。 これを仕舞い仕事と言います。 |
仕舞い仕事後、数時間して麹室から 麹米を出します。 これを出麹といいます。 このまま約1日乾燥させて、水分を飛ばします。 これを枯らしといいます。 |
イイ麹ダ! | ||||
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← | ← | 酒母タンクに予め麹米・仕込み水を入れて水麹を作っておき、そこに蒸しあがった掛米を入れて軽く混ぜます。 |
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汲み掛けを約1日した後に、 一度櫂を入れます。 これを荒櫂と言います。 |
軽く混ぜた後、タンクに円柱状の物を差し込み、内側は水分、外側に米、という風に分けます。 そして、一定時間毎に、内側の水分を外側の米に掛けていきます。 この作業によって糖化を促進します。 この作業を汲み掛けと言います。 |
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→ | → | この、暖気→冷却機を約12〜13日続け、酒母の糖化と、乳酸の育成を進めます。 あまり温度を上げ過ぎないように、注意を払いながらの作業です。 この時点ではアルコールは精製されず、甘いおじやのような味です。 |
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酒母の仕込み後4日目位から、暖気(だき)という金属の容器にお湯を入れたものを 酒母に漬けます。 大体一日一回、適度な時間漬け、 酒母の温度調節します。 これを暖気入れといいます。 |
暖気を抜いた後は、冷水が中を通る冷却機を酒母に入れ、酒母の温度を下げます。 | |||||
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それからまた10日以上かけて醗酵を進め、酒母の表面に泡が立ち、 アルコール発酵が進みます。 その後、仕込みタンクに移し、添・仲・留と仕込み量を増やしていき、 繊細な温度管理のもともろみは育っていきます。 大体酒母日数で28日前後、もろみ日数も同じ位なので、 一本のタンクを仕込んでから上槽(搾る)まで約2ヶ月かかります。 |
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この後、上記の暖気→冷却機と櫂入れを繰り返し、14〜15日位からは暖気のみで醗酵を進め、 アルコールを出していきます。 |
今回はさすがに上槽までは見れなかったのですが、実際に手伝わせていただいた事で、 準備にかかる裏側での手間や、仕込んでからの管理など、勉強になる事は沢山ありました。 社長の大倉さん、スタッフの田中さんもまだ若く、伝統的な山廃の技術を継承するのはもちろん、 これからは色々と新しい試みで、面白いお酒を造っていって欲しいです。 またお世話になります・・・ |
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