2007/09/16 第11回 小笹屋竹鶴 呑切会 竹鶴酒造(広島県) |
今年で11回目を迎える「竹鶴酒造」の呑切会に参加して来ました。 石川杜氏による造りのお話や利き酒、懇親会と充実した時間を過ごす事ができました。 |
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午後2時 まずは竹鶴社長よりご挨拶があり、日本酒を取り巻く現状や、現在の竹鶴酒造についてのお話をいただき、スタートしました。 |
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続いて石川杜氏による造りの説明や、16BYからスタートした「生もと」についての説明を頂きました。 まず、18BYの造りは暖冬の影響で米が良く溶けた(全国的に)そうです。 その上で、18BYの清酒の平均日本酒度は「+11,1」! この数字は全国的にみても高い数値のようです。 また、社内的な事項として、「もと場」の改装を行ったとのことです。 造りについての詳しいお話は下記になります。 |
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石川杜氏による説明の概略 | ||
・暖冬を歓迎!? 「生もと」造りを始めた16・17BYは気温も低く、「生もと造り」に適していた。 が、寒くないと造れないのか?? ↓ 暖冬で挑戦! ↓ 冷房も使わず、早湧きもせず、きちんと上槽できた。 何故?? ・もろみの温度管理をしない!? 現在、もろみの温度コントロールをする(人為的に)のが技術だと思っている人が多い。 が、それは間違い。 ↓ 今年に「生もと」3本は、温度管理なしで上槽できた。 ↓ 本当に温度管理は必要なのか?? ・何故もろみの温度管理が必要なのか? もろみの温度は、醗酵による熱によって上がる。 現在の酒造りは、温度管理をすることが前提である。 ・何故もろみの温度がどんどん上がるのか? @仕込みの大きさ 現在は、造る酒の種類に合う仕込みの大きさではなく、造りたい量から逆算した仕込み量で造ることが多い。 ↓ 仕込みの量が大きくなると、管理できる許容範囲を超え、冷却せざるを得ない。 A汲水の量 現在の造りは昔に比べて汲水の量が増えている。 ↓ 水の量が増えると酵母が活発に働く→温度が上がる。 水が少ない状態では、酵母よりも乳酸が働く→「生もと造り」はこれを利用。 B泡なし酵母の使用 従来の泡ありの酵母での醗酵の場合は、醗酵途中の「高泡」という状態において、泡の中に酵母が多くなる為、ゆるやかに醗酵するが、泡なし酵母の場合は、そのゆるやかな状態がない。 C活性酵母の使用 現在「速醸造り」を中心に、すぐに醗酵させる為に活性度の高い酵母を使用することが多くなった。 「冷やす」という行為を当たり前と思う訳ではなく、何故「冷やす」のか?を考える。 昔は今ほど冷却技術もなく、「生もと造り」しかなかったはず。 冷やさないといけない状態を逆手にとることで、温度調節なしでの造りが可能に。 (もちろん研究・努力あってのことですが。) ・米を溶かすことについて 現在「竹鶴酒造」の吟醸酒の粕歩合は11%!(通常は30%前後でしょうか) 米を溶かしすぎると、もろみが最後にキレなくなり、味がくどくなると言われている。 が、米を溶かしてもキレれば良いのではないか? ↓ 米の味をしっかり残した酒を造らないと、もったいない! 雑味になりやすい米の外側を精白した上で、更に粕を残すのはおかしいのでは? 「生もと」なら溶かしてもキレるはず! ↓ 現在も、いかに溶かして良い酒を造れるか考えている。 「生もと」を造るようになってから、こういった造りに対するセオリーに対しての疑問が多くなり、本来の酒造りに戻りつつある。 現在は「生もと」を基準に他の造りに活かしている。 |
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以前に蔵元を訪れた時にもかいつまんだお話は伺ったんですが、今当たり前だとされている事が本当に当たり前なのか?何故そうしないといけないのか?という追求心には驚きますし、「生もと」を造り始めてからは更に実践を踏まえて得た事も多いのだと思います。 日本酒造りの原点に立ち返った日本酒・・・ これからも楽しみです! |
その後、竹鶴酒造が契約している農家の方の紹介がありました。 宿根雄町の栽培農家の 重森昭人・富枝夫妻と奥元忍・勝恵夫妻です。 やはり良い米なしに良い酒はできません! こういう農家の方の造った素晴らしい米によって、竹鶴酒造の旨い酒ができるんですね! |
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ここで待望の利き酒です! 12BYから18BYまで、ざっと50種類ほどの利き酒をしました。 ここで再認識したのは、やはり「竹鶴酒造」のお酒は、ある程度の熟成期間を経て旨みが開くということです。 勿論早めに飲んでも美味しいものもあるんですが、ビンテージを遡って、16・15BYあたりから旨みをしっかり感じるようになり、それ以前のものになると、「燗したいな〜」と思ってしまいます。 しかし、一本一本採点とコメントをしないといけないというのが大変でした・・・。 |
その後、場所を移しての懇親会です。 |
ここでは先ほど利き酒したお酒が飲み放題! 生もとから古酒まで色々と燗してもらって最高でした! また、石川杜氏が結婚10周年ということで、お花の贈呈などもあり、楽しい宴となりました。 その他、他地域の酒屋さんとの交流もでき、充実した時間を過ごせました。 この後に三次会もあったのですが、翌日の都合もあり参加できず残念でした・・・。 |
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