2007/03/13
竹鶴酒造(広島県)
 広島県は竹原市の、古い町並みを残した一角にこの蔵元はあります。

 まずは竹鶴専務と石川杜氏に挨拶した後、まずはお昼に行きましょうとのことで、竹鶴専務に広島焼をご馳走になりました。
 うまかった〜。
 昼から、石川杜氏に蔵の中を案内して頂きました。

 これがこの蔵元の甑です。

 以前いらっしゃった蔵元では和釜を使っていたそうで、この蔵元にきて、試行錯誤の末、今ではある程度狙った蒸し上がりにできるようになったとおっしゃってました。
 麹室です。

 こちらでは箱麹と、機械式の製麹機がありまして、もちろん製麹機も使っているのですが、やはり麹箱の利点もありますし、若いスタッフに継承する意味でも、麹箱を使っています。

 またこの蔵元の麹箱は、昔の麹箱を再現して作ってもらったという、オーダーメイドなんです。
 もと場です。

 石川杜氏は3年前から「生もと」造りをし始めまして、写真右にあるのが「もと擂り」用の木桶です。

 石川杜氏自身、昔の造りにこそ人の知恵が凝縮されていて、現在は便利な機械等も増えてきたけれど、原点の造りを知った上で進まないといけないのではないか?という考えを持ってらっしゃいまして、この「生もと」造りもずっとやってみたかったそうです。

 とあるきっかけで造ることになったのですが、現在は「生もと」を造ることで、多くの発見や学ぶことがあり、昔の造りのすごさを改めて実感しているそうです。

 色々と聞きたいこともあったのですが、生もとを語ると2時間はかかる・・・ということで、次回に持ち越しとなりました。
 仕込タンクです。

 あまり人為的に暖めたり、冷やしたりしないように、もろみを自然に醗酵させたいという気持ちがあり、今年上槽した「生もと」のうち3本は、暖気以外は全く温度調節をしていないそうです!

 現在は冷水を回したり、暖める機械があり、それが普通だと思っていたのですが、「昔はそんな機械はなかったし、現在ほど人為的に理想の温度経過を作ることはできなかったでしょう。」とのこと。

 確かにそうですが、それを実際やってしまうなんて・・・
 すごいです。目からうろこでした。
 最後に利き酒をさせて頂きました。

 まだ新酒を生の状態で飲んだ為、やや硬さはあったものの、全てにおいて一本筋が通っており、無骨ではあるが、旨みの凝縮されたお酒でした。

 基本的には酸も高く、辛口タイプが多いのですが、数値程の高さは感じず、米の味を引き出した酒質でした。

 特に生もとは+18という数値で、人為的に温度管理せずに上槽した酒とは思えませんでした。いや、むしろだから良いのかもしれません。

 また杜氏曰く、生もとや山廃のお酒には「緩衝力」という力が強く、原酒のアルコールの強さや、酸の高さ、日本酒度の高さによるインパクトを和らげ、気持ちよく味わえるようになる力が強いらしいです。

 これが生もと系のお酒の特徴だということです。

 う〜む、なるほど。
 僕がこの蔵元で感じた事は、昔の造りを重んじ、それを実践することで、酒造りというものを根底から捉え、その上で、理に叶ったことを当たり前にしているという事でした。

 もちろん原料の処理などできる限りのことをするのは前提ですが。

 その年その年の米の力や旨みを最大限に生かし、使っている地下水の性質に逆らうことなく、自然な造りをすること。そんなこだわりを感じました。

 もっと聞きたいことはあったのですが、気がつけば5時間も滞在してまして、そろそろおいとますることにしました・・・。

 長い時間お付き合いいただきまして、有難うございました。
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